DATE: 2018.07.30
坂口恭平に初めて直接出会ったのは奇しくも熊本地震の前日 2016年4月13日だった。その日、TAO塾の「懐かしい未来食」料理教室の生徒さんの一人が、熊本大学の近くにベジの食堂をオープンさせたということで、お祝いがてらランチを食べに行ったのだった。
そして、その食堂のカウンター席で坂口恭平と隣り合わせになった。色々話す中、彼はおもむろに「それで波多野さんは阿蘇小国で何をしているんですか?」と私に尋ねた。私は「そうだなぁ〜教えない教育、治さない医療、救わない宗教ってところかな」と答えた。
普通は、そこで多くの場合「えっ?」と驚く反応がある。そりゃそうだ。通常は、先生が教えてあげて、生徒が教えてもらう、それが教育。医者が治してあげて、患者が治してもらう、それが医療。教祖様が救ってあげて、信者が救ってもらう、それが宗教と考えるのが一般的だ。だから、不思議な顔で「何ですか?それ」と聞かれるのが常だ。
ところが、坂口恭平は違った。彼は「教えない教育、治さない医療、救わない宗教・・・そうですよね!僕は建てない建築家です」と答えやがった。ははは、噂どおり面白い男だ。しかも、その日はなんと彼の誕生日ということで、嬉しい乾杯!その後、自然治癒力を高める食や気を高める原生林の話などで盛り上がった。「僕、今雑誌ポパイに連載持っていて食や原生林に興味あるんで是非取材させて下さい」と言われ、「いや〜楽しみにしているよ」と答えたものの、次の日熊本地震。お互い忙しい日々が始まった。
しかし、約束通り彼は熊本地震が落ち着いた頃、TAO塾に来て、日長一緒に遊んだ。そして、2017年10月号にTAO塾の「原生林」、2018年5月号に「ヨモギ」をテーマにインタビュー記事を書いてくれた。
サイハテの工藤シンクとの出会いも嬉しいタイミングだった。TAO塾が営む「TAO retreat & café」の近くにあるマゼノ共和国でのイベントに「氣楽亭」なるラーメン屋を出店した時だった。前日まで、「7ジェネレーションウォーク」を一緒に歩いた山田俊尚らのグループも工藤シンクの仲間達も、実に力みのない遊び心を持った清々しいバイブレーション。その後、全国のエコビレッジをつなぐCo-reキャラバンでTAO塾でコラボ企画。来るべき明日の社会づくりをネタに皆と酒を飲み交わす中、工藤シンクが「TAOって、結局アレっすよねアレ」とTAO塾の壁に書けてある暖簾に書かれた「遊」の字を指差した。
そう、老荘も東洋医学の陰陽哲学も「遊」の世界。原始生命体的快感覚の「遊」を大事にしたい。 人間の頭(あたま)に右脳と左脳があるように、地球(ちのたま)にも東洋と西洋という2つの役割の違ったアプローチが存在する。西洋科学×西洋医学のミクロ-バイオ-ティックと共に、東洋哲学×東洋医学のマクロ-バイオ-ティックの智慧を学ぶことによって私達はこの世界をより広くより深く理解でき、日々届けられる現象をT楽しくA明るくO面白く生きていくことができる。そんなミクロにもマクロにも自由自在に観ることができる「複眼思考」入門をこれからのコラムでエデュテイメント(education+entertainment)できればと思っている。
TAO retreat:https://taoretreat.jimdo.com/
波多野 毅:https://www.facebook.com/hatano.takeshi.5
次世代型コミュニティ大学コラム :『東洋医学の哲学と医食農同源』
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